会社の福利厚生の一環として、半年に一度、応募券をもらうことができる。
冊子の中から好きなものに応募できるのだ。例えば、舞台だったり、野球観戦チケットだったり、お笑いの公演だったり。
その月によってさまざまなものが案内されていて、今回わたしは大阪で開催の木下大サーカスのチケットに応募した。
サーカス・・その言葉をきく度に、思い出す女の子がいる。
もう何年前の話・・わたしが小学2年生のときの話だ
1学年に3クラス。
夏になる前の季節だったと記憶しているのだが、隣のクラスに日焼けした色黒の小さな女の子が転校してきたのだ。
わたしたちの担任の先生は、わたしたちのクラスにやってきたわけでもない彼女のことを紹介してくれた。
”サーカス団に所属する女の子であること”
“ここの学校には2週間しかいないこと”
近くの市営球場に白いテントが設置された。親にお願いしてサーカスに連れて行ってもらった。すごく楽しくて、グッズも買ってもらった。
隣のクラスだったけど、休み時間に彼女に会いに行ってみた。「サーカス、すごいね!」
先生が言った通り2週間後、あっという間に彼女は居なくなってしまった。
また見に行きたいなと思った市営球場に設置されたサーカス団のテントはもう跡形もなく消えてしまっていた。
また来年も来るのかな?と思ったりしたけど、もう二度とわたしが住む町にサーカス団がやってくることはなかった。
「サーカス」ということばを耳にすると、今でも彼女のことを思い出す。フルネームだって覚えている。
せいこちゃん、今どこにいるんだろう?