何十年も器用にミシンを使う仕事をしていた母に、巾着を作ったことがあるか、と訊いたところ、ない、と答えられてしまった。
まさかの答えである(*・ω・)。
母の技量からすると、巾着なんてちょちょいのちょいだと思っていたのに。
まあよい。
事前に手縫いで予習しているのだから。
生地が柔らかいので、裏地をつけたほうが丈夫に使えそうだ。
裏地用の水玉のTシャツを忘れてきてしまった。母に要らない布がないかときいてみると、様々な派手なw端切れを出してきてくれた。
轟「ほら、白やし、透けてみえるやん。紺とか黒とか、単色の布ないん?(*・ω・)」
母「そんなん面白くないやん。これは?」
母がすすめてくるのは、おばあちゃん色が強い柄の布(: ・`д・´)。いや、巾着に面白さは求めてないねんw。
小さないざこざはありつつも(笑)、わたしがたくさんの布から選んだのはグレーの布だった。
グレーの布を当てて作業していると、
母「何でそんな布使うんよ、汚いやん」
汚い、というのは、汚れているという意味ではなく、継ぎ目があって一枚の綺麗な布ではない、という意味だ。
「別にいいやん、使えるやん」
「他に布があるやん」
「裏地やし、継ぎ目があってもこれでええんよ」
また小さないざこざ(笑)がありつつ、何十年ぶりかに使うミシンで作業をすすめ、バンバンTシャツから巾着ができた。ミシン楽しいね(*・ω・)。
できたよ、と母に見せると
「普段縫い物なんかせんのに綺麗にできたやん」
母はバンバン巾着の裏地のグレーの布を触って言った。
「あれ、これ、かおりのあれ切った生地やね」
「スカートやろ?」
口には出して言わなかったが、わたしは生地を触った瞬間、わかったのだ。
大学生になったときに、母がパート代で買ってくれた上等のスーツ。わたしにとって初めてのスーツだった。
買ってくれたときはロングスカートだったのだ。歳を重ねて、膝丈に切ってもらった。その布だったのだ。
まさか、その布が何十年も残っていて、バンバンTシャツとともに巾着に生まれかわるなんて(笑)。
だからグレーの生地を選んだんだよ(*・ω・)。